第一章



◆第一章『始まりはやっぱり』



森林都市、メヌエル。

緑溢れるこの街から今、一人の男が誇り高きDX部隊として旅立とうとしていた。


「ちょっと、ハンカチ!」
「ん」

玄関先でブーツを履きながら、妻のルピリアから差し出されたハンカチを受け取るのは今回の主人公、ラディス・フォン。

「もう、しっかりしてよ」
「わふいわふい」

トーストを口に銜えながらジャケットを羽織り、立ち上がる。その時、騒ぎを聞き付けて目が覚めたのか、現れたのは。

「ぱぱ……」

当時、一歳のルーティである。

「んー、起こしちゃったか」

覚束ない足取りで歩み寄ってきたルーティをひょいと抱き上げ、トーストを急いで頬張ってから頬っぺたにちゅー。

「おはよ、ルーティ」
「お、ぁよ」

愛らしく微笑むルーティに、締まりのない笑みを浮かべながら抱き締めるこの男こそ、ルーティの実の父親なのである。
 
 
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