第四章-前編-



進化の段階が一番下である自分が、放電を余儀なくされる毎日。それでこの命がどれだけ持つか、なんて定かじゃなかった。

隔離された部屋の中、繋がれた鎖が音を立てる。何かが崩れていくのを感じながら、暗闇の中でそっと瞼を閉じた。

何もない、時間だけが過ぎていった。


「そん時だよ。あいつがやって来たのは」
「まさか、ラディスも?」
「いやいや」

クレシスは何故かくすくすと笑って。

「正義の真似事だったと思うぜ、あれは」


――助けに来た。

見知らぬ青年が研究員を薙ぎ倒して、そう口を開いた。俺を床に繋いでいた鎖を電撃で焼いて手を伸ばし、微笑みかける。

――さあ、ここから出よう。

思わぬ転機に暫し呆気にとられていた。

はっと我に返った時には、自分はその手を取るどころか弾いてたんだよ。

正直、自分が一番驚いてたと思う。
 
 
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