第四章-前編-
沈黙が訪れた。
まだ、あの悲惨な光景が瞼の裏に焼きついて離れなかったのだ。クレシスは一旦瞼を閉じると、小さく息を吐き出して。
「……その」
フォックスは遠慮がちに口を開いた。
「結構、仲が良いんだな」
クレシスはそっと瞼を開いて。
「……そう見えるか?」
「もしかして、勘に障ったとか」
「いんや」
くす、と笑みを溢して顔を向ける。
「そう見えたってなら、それでいい」
――何となく意味があるように思えた。
自分の相方と同じく不器用な類いなのだろうが、ふと違うところを感じたのだ。
「……どうした」
「あっ、別に」
「面倒くせえ奴だな。言ってみろ」
強引なところは似ている。
「……二人がそれだけ打ち解けてるなら、初めて会った時はどうだったのかなって」