第四章-前編-
「……うっ」
そんな呻き声を洩らしたのはルイージである。口を押さえてその場に屈み込む姿を見つけて、急いで駆けつけたのはマリオ。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん……平気……」
そうは言うが、顔は青ざめている。
「お前、もういいから休んでろ」
「……でも」
「つべこべ言わずに。ほら」
マリオの手を借りて立ち上がり、ルイージはふらふらとテントへ。
「……そうだ、ラディス」
その様子を傍目にしていたクレシスは、ふと思い出したように声をかけた。
「ああ、どうした?」
「なんであいつを連れてきたんだ」
そう言ってクレシスがしゃくってみせた先にはリンクがいた。村人の死体の前にしゃがんで、じっと見つめている。
「子供に見せるもんじゃねえだろ」
当時、リンクは八歳だった。年端の行かない子供に、この光景はあまりにも酷だ。
「その……断ればよかったんだがな」
クレシスは怪訝そうに見つめて。
「彼が、どうしてもって言うから」