第一章
「よせ。いつものことだろう」
腕を組みつつ、ふんと鼻を鳴らすこの少年の名はユウ・ブラン。先程紹介した少女リムとは幼馴染みで、共に五歳である。
年齢だけで甘く見てはいけない。彼らは父母が望んで戦場に送り出したのだ。
「それもそうでしゅね。ラディスだもん」
「あはは……」
だからなのか、明らかに年上であるラディスにさえこの態度。
敵わないな、と頭を掻きながら苦笑いを浮かべるラディスに、少し先をファルコと並んで歩いていたフォックスは笑って。
「随分と仲がいいんだな」
「冗談! ラディスってばお馬鹿さんだから、見張ってあげてるだけっ!」
腰に手を当てながら否定するリムに、ユウは黙って二、三度頷いてみせる。
「これだからね。参るよ」
「好かれてる証拠じゃないか」
「ルーティもいつかこうなるのかな……」