第三章
空は、いつもより涼しい風が吹いていた。
「……あんたさ」
カービィは追いついたヨッシーを横目でひと睨み、拗ねたような口振りで。
「余計なこと、言わないでくれる?」
「す、すみません……」
暫しの沈黙が訪れる。
「カービィさん」
ふと、ヨッシーは口を開いて。
「あのぅ、……笑わないでくださいよ?」
「どうかな」
「意地悪ですねぇ」
困ったように眉尻を下げるヨッシーに対し、カービィは意地悪く笑ってみせる。
「……僕」
ヨッシーは話を切り出した。
「空って灰色とばかり思っていました」
カービィは目を細めて。
「でも、違ったんですね」
――柔らかな風が吹き抜ける。
「雲はいつか切れて、太陽の光が射し込むんだって。貴方は、見つかりましたか?」
雲の切れ目を。
「……うん」
意外にもカービィは素直に応えた。
「あのさ」
次に話を切り出したのはカービィである。
「呼び捨てで、いいから」
ふいと顔を背けるカービィに、
「……はいっ」
ヨッシーは誰よりも嬉しそうに笑った。