第一章
「俺の名前はマスターハンド。君達に見合った任務を与え、全体的な管理を施すようにと上から命令されている。……」
コバルトブルーの瞳は常に冷たい光を灯しており、髪は淡い青色のショートヘア。
深い緑色を基調にした軍服を纏ったこの男、これからDX部隊のメンバーが移り住むことになる屋敷の主でもあるらしい。
長々とDX部隊の何たるかを語り始めるかと思いきや、男は「以上だ」と話を締めて、背を向けると歩き出した。
「ついてこい。これから屋敷に向かう」
ちらりと振り向いて告げる彼に、誰一人文句を言う者はいなかった。思い出して語られても困るし、一種の暗黙の了解だ。
「初日から寝坊する奴がいるかよ……」
クレシスは溜め息を吐き出して。
「ラディスってばとんちんかん」
呆れたように呟くこの少女は、先程声を張り上げてた少女と同一人物。有名格闘道場の一人娘、リム・ライトネルである。