第一章
「え、えーと」
「悪いな。うちの馬鹿が」
その青年は小さく息を吐き出して。
「お前の馬鹿が移ったらどーすんだ」
「だからって……酷いな、クレシスは」
蹴られた側頭部を摩りながら、ラディスは苦笑気味に青年へと視線を送る。
「彼は同期のクレシス・リー」
「ん、」
そう紹介された青年、クレシスはフォックスとファルコを何故かじっと見つめて。
「な、何か……?」
フォックスは怪訝そうに視線を返す。
「いや」
「こらあっ、ミイラ取り!」
びりびりと響く、物凄い声だ。
「ミイラになってどうするんでしゅか!」
遠く離れた場所から声を張り上げるのは、ツーサイドアップの少女。よく見れば、DX部隊と思しきメンバーが並んで集まっているではないか。クレシスは慌てて、
「おい、急ぐぞ!」