第一章



「え、えーと」
「悪いな。うちの馬鹿が」

その青年は小さく息を吐き出して。

「お前の馬鹿が移ったらどーすんだ」
「だからって……酷いな、クレシスは」

蹴られた側頭部を摩りながら、ラディスは苦笑気味に青年へと視線を送る。

「彼は同期のクレシス・リー」
「ん、」

そう紹介された青年、クレシスはフォックスとファルコを何故かじっと見つめて。

「な、何か……?」

フォックスは怪訝そうに視線を返す。

「いや」
「こらあっ、ミイラ取り!」

びりびりと響く、物凄い声だ。

「ミイラになってどうするんでしゅか!」

遠く離れた場所から声を張り上げるのは、ツーサイドアップの少女。よく見れば、DX部隊と思しきメンバーが並んで集まっているではないか。クレシスは慌てて、

「おい、急ぐぞ!」
 
 
15/37ページ
スキ