第三章
「今回は負けといてあげる」
カービィはラディスの胸をつんと小突いて。どうやら、能力をコピーするに当たって場所は何処でも構わないらしい。
「いつの間に……」
「ぼうっとしてたら“ここ”も貰うよ」
そう言ってカービィが自分の唇に人差し指を添えれば、ラディスはたじろいで。
「つ、妻と子供がいるんだが……」
暫しの沈黙。
「……は?」
そういえば話すのは初めてである。
別に、隠しているつもりはなかったのだがカービィは唖然としていて。
「ごめん。嘘つかない主義だからさ」
「へっ」
「針千本はきついと思うんだけど」
「……いやいや! 本当に、」
次の瞬間、何の前触れもなくカービィは手を突き出すと、飛びかかろうとしてきたリザルフォス目掛け、青い稲妻を放った。
「ま、その話については」
カービィはくすっと笑って。
「後でゆっくり聞かせてもらおっかな」