第三章
カービィはぽつりと口を開く。
「……嘘だよ」
どうして、彼はこんなにも優しいのか。
ただの情じゃない。それでも、本当の理由を知るのが怖かった。――だって、彼は。
「顔を上げて。そういう風に見えるか?」
あの男によく似ていたから。
「胡散臭い」
「ちょ」
「僕が帰る場所、あんの」
ラディスは少し考えて。
「……俺の胸とか」
「えっ」
「そんなのでよければ、帰っておいで」
関わりたくなかった。
考え方が変わって、また繰り返すのが怖かった。だから、遠ざける他なかったんだ。
本当は多分、誰より不器用だったから。
「……嘘ついたら」
だから、“最初で最後”だと誓った。
「針千本」
僕の本当の意志が、今度こそ。
――大切な誰かを犠牲にしないように。