第三章



「強がるな!」

次の瞬間、正面から力強く抱き締められてカービィは驚いた。なに考えてんのさ、と肩に手を置き、引き離そうとするが。

「君は……本当は怖いんだ」

はっと目を開いて。

「だから君の言う、仲間も、誇りも、情も甘さも全て蔑ろにしようとした。そう思い込んでいれば辛くないだろうと信じて」

ラディスは腕に力を込める。

「でも、違うんだ」

カービィは微かに首を横に振って。

「逃げてはいけない。どんなに辛くても、その覚悟を持って戦うしか」
「やめてよ! そうやって結局、人間は死ぬんじゃないか! 同じこと繰り返して」

言葉を詰まらせ、顔を俯かせる。

「僕は……っまた……」


灰色の空を何度も見上げた。

ずっとそうやって生きてきた。今更、何も変わらない。変わらなくたって、僕は――


「君は一人じゃない」

ラディスははっきりと言い切った。

「一人にはしない!」
 
 
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