第一章
「凄い髪型だな……」
ファルコとはフォックスが繋いでいた無線越しに話していただけなので、実物を見るのは初めてだ。何も爆発してるわけではないが、彼の髪型は印象に残るものがある。
「セットに時間がかかるんじゃ」
「あ? 十分で終わっけど」
ファルコはにやりと笑って、
「何だったらやってやろうか?」
「え、遠慮するよ」
すかさずフォックスの後ろに隠れて盾にする彼は、社交的なのだろう。フォックスもファルコもくすくすと笑って。
「そういえば、二人は何タイプなんだ?」
「えっ」
フォックスとファルコは顔を見合わせる。
「だ……だって、」
「視野が狭すぎんじゃああ!」
遠くから駆け付けてラディスの側頭部に跳び蹴りを食らわせたのは、黒髪に金色のメッシュが際立つ吊り目の青年である。
「あだっ」
「全員がポケモンなわけあるか!」
どうやら、初対面ではないらしい。