第三章
カービィの表情に影が差した。
「……それが、迷惑だって言ってんの」
ぎり、と奥歯を噛み締める。
「関わらないでよ! だって、僕はっ」
――僕は、……何だよ。
「カービィ!」
ラディスが気付いて声を上げたのも虚しく、二人はリザルフォスの堅い尻尾によってその体を弾き飛ばされていた。
「がッ」
地面を転がって横たわるラディスと、壁に背中を打ち付けてずるずると座り込むカービィ。――あの時のリザルフォス。
仕留めきれてなかったんだ。
「ぅ」
頭を打ったらしい。視界がぼやける。
追ってきたリザルフォスは一体だったが、この状況なら十分すぎる数だった。
「く……っ」
リザルフォスはゆっくりとカービィに近付いていく。ラディスは動かない。
――その剥き出しの牙で噛み付けば、さぞやいい音がするだろうね。そこには驚くほど冷静な自分がいて、ただ見上げていた。
あの日の光景はこんなだっただろうか。