第三章



「……え」

ようやく腕の力が緩んだかと思えば、次の瞬間には頭を撫でられていた。

「なっ」
「優しいんだな」

目を開いた。

「君も、最後まで信じて戦ったんだろ?」

ラディスは微笑を浮かべて。

「本当は君が誰より仲間想いだってこと、お仲間さんも気付いてくれたと思うよ」

カービィはぴたりと歩みを止める。

「……どうだろうね」

くすっと笑って。

「恨んでるんじゃないかな。結局はその仲間を、僕は見殺しにしたんだから」


あの日の自分を許してはならない。

ただ見ているだけで、何も出来なかった自分を。最後まで甘かった愚かな自分を。


「いいや、君は戦った」

ラディスははっきりと返して。

「逃げなかった。……だから」

ぎゅう、と胸部に手を回して抱き締める。

「これ以上、頑張らなくていい」
 
 
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