第三章
――最期までバカだったよなァ、あいつ。
そう笑って吐き捨てられたその言葉に、自分はうんと頷きざるを得なかった。
――正気も何も、これが本当のオレだってのによォ? お人好しったらないね。
あの男は、最後まで信じて疑わなかった。
結果、地面に横たわったまま動かなくなってしまった彼をじっと見下ろして。
情なんてさ、持ち込むだけ無意味だよ。
いつだったかそう呟いた自分を、あいつは否定した。無情になって働くより、人間らしく生きていた方がずっとマシだと。
――これが、最初で最後の仇討ち。
しとしとと降り頻る雨の中で、悲痛な声が空を劈く。迷いなく切り捨てられたそいつは、呆気なく地面に突っ伏して。
おもむろに空を見上げた。頬に落ちてきた雨粒がゆっくりとなだらかに伝い、滴る。
――求めるな。仲間も、誇りも、情も甘さも何もかも。無情になって敵を討て。
そしたら、きっと。
こんなに寂しいのも最後のはずだから――