第三章



「聞かせてほしい」

再び、カービィがラディスを背負って歩いていたその時、首に回した腕にほんの少し力が込められて。……唐突だった。

「あのさ、苦しいんだけど」
「分かってるさ」

確信犯かよ、と突っ込もうとしたが、別の意味に捉えていることにすぐ気付いた。

カービィは溜め息を吐いて。

「そういうの、一番迷惑なんだよね」

ラディスは黙っている。

「勝手に人の領域に踏み込んでさ、仲間だからなんて理由を付ける。辛かったね、苦しかったねって泣くところまでお見通し」

カービィはさらりと吐き捨てる。

「ワンパターンなんだよ。気持ち悪い」


洞窟の中、靴音が物悲しく鳴り響く。


「リーダー命令、と言ったら?」

カービィははっとして。

「隊長には知る権利があるだろ?」
「何それ」

そういえばこいつ、リーダーだっけ。

「……本当」

カービィは酷く呆れた様子で。

「人間ってずるいよね」
 
 
39/85ページ
スキ