第三章
「聞かせてほしい」
再び、カービィがラディスを背負って歩いていたその時、首に回した腕にほんの少し力が込められて。……唐突だった。
「あのさ、苦しいんだけど」
「分かってるさ」
確信犯かよ、と突っ込もうとしたが、別の意味に捉えていることにすぐ気付いた。
カービィは溜め息を吐いて。
「そういうの、一番迷惑なんだよね」
ラディスは黙っている。
「勝手に人の領域に踏み込んでさ、仲間だからなんて理由を付ける。辛かったね、苦しかったねって泣くところまでお見通し」
カービィはさらりと吐き捨てる。
「ワンパターンなんだよ。気持ち悪い」
洞窟の中、靴音が物悲しく鳴り響く。
「リーダー命令、と言ったら?」
カービィははっとして。
「隊長には知る権利があるだろ?」
「何それ」
そういえばこいつ、リーダーだっけ。
「……本当」
カービィは酷く呆れた様子で。
「人間ってずるいよね」