第三章
――情は弱さだ。
「くッ」
己が剣となり、敵を討て。
迷うな。人はいつだって自分に精一杯で無情な生き物だ。……仲間が。誇りが。
すがり付いてはいけない。だって。
その人間の結末は――
「っは……っは……」
しん、と静まり返る。
二体のリザルフォスは地面に突っ伏したまま、動かなくなっていた。カービィは暫し呆然とその場に立ち尽くしていて。
乱舞。今の戦いを例えるのなら、その言い方が一番しっくりくるだろう。
ラディスは唖然としていた。
「……終わったよ」
そう呟いて振り返る、カービィの表情にぞっとした。ただの一つも笑みを浮かべず、彼の頬には魔物の、緑色の体液が付着していて。ぐい、と手の甲で拭い去る。
何故か、寂しかった。
「カービィ……」
――ずっと遠くにいるような気がして。