第三章



――情は弱さだ。

「くッ」

己が剣となり、敵を討て。

迷うな。人はいつだって自分に精一杯で無情な生き物だ。……仲間が。誇りが。

すがり付いてはいけない。だって。


その人間の結末は――


「っは……っは……」

しん、と静まり返る。

二体のリザルフォスは地面に突っ伏したまま、動かなくなっていた。カービィは暫し呆然とその場に立ち尽くしていて。


乱舞。今の戦いを例えるのなら、その言い方が一番しっくりくるだろう。

ラディスは唖然としていた。

「……終わったよ」

そう呟いて振り返る、カービィの表情にぞっとした。ただの一つも笑みを浮かべず、彼の頬には魔物の、緑色の体液が付着していて。ぐい、と手の甲で拭い去る。

何故か、寂しかった。

「カービィ……」

――ずっと遠くにいるような気がして。
 
 
38/85ページ
スキ