第三章



――貴方なら大丈夫ですよ。きっと。

雨が地面を打ち付け、強い風が吹き荒れたあの日の晩、僕は森を抜けたいと言い出した友人を止めようとはしなかった。

彼は強かったし、大丈夫だと思って送り出した。それなのに、帰ってきたのは。


彼であり、彼ではなかった。


――お前があいつを殺したんだ。

村の仲間からは、自分が嘘をついたからああなったのだと責められた。事実を隠して送り出し、彼を死に追いやったのだと。

言い返す言葉もなかった。


自分のせいだ。あの時、少しでも躊躇や不安があったのなら彼を止めるべきだった。

もし、次に同じ場面に遭ったとして、自分は何が言えるだろう。不安が募る。


どうしよう。もし、次も自分の言葉が。


誰かを殺してしまったら――
 
 
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