第三章
「……何で、言わなかった」
ヨッシーははっと顔を向けて。
「ぁ、僕は」
「気付いてたんだろ、最初から」
なるべく冷静に、ゆっくりと話しかける。
ヨッシーはおろおろと視線をさ迷わせていたが、やがてその表情にも影が差して。
こくり、小さく頷いた。
「何でだよ!」
感情的にならずにはいられなかった。
肩を掴んだ手に力を込め、そう声を荒げればヨッシーは怯えた瞳を向けて。
「どうして言ってやらなかった!」
あの時、たった一言危ないと叫んでいれば。攻撃は回避できたかもしれない。
「大丈夫だとっ」
ヨッシーは目を逸らして。
「……思ったんです。でも、」
「そんな、お前の勝手な自己判断で」
ファルコは顔を顰める。
「死んだかも……しれないんだぞ……!」