第三章
「……いつも思うんだが」
ラディスはとある疑問を口にした。
「何で、名前で呼ばないんだ?」
基本的には“あんた”と呼ばれている。
ファルコに限っては鳥だ。自分はそうでもないが、彼は気に食わないだろう。
「普通に返事するくせに」
「た、確かに」
……いや納得してどうする。
「名前なんてさ、飾りでしょ」
カービィはよっと背負い直して。
「花は綺麗ならそれでいいし、ペットは可愛いならそれでいい。そういう理屈なら、戦士だって同じだと思うんだよね」
沈黙が訪れた。
気まずいのではなく、ただ。ラディスは首に回している腕に、少しだけ力を込めて。
「……寂しいな」
小さく、そう呟いた。
「君のこと、もっと知りたいのに」
「知らなくていいよ」
カービィは目を細めて。
「……失望するだろうから」