第三章
程無くしてアーウィンはレイアーゼの上空を抜けた。空に浮かぶ大都市を、ラディスは振り返り、見つめていて。
「何だぁ? もう心細くなったのかよ」
ファルコがからかうと、ラディスはようやく前に向き直って微笑を浮かべた。
「いや……」
「急にどうしたんだい」
ルイージはくすっと笑って。
「……帰る場所があるというのは、こんなにも擽ったいものなんだな」
さあっと優しい風が吹き抜ける。
「帰ろうな、絶対に」
「……そうだね」
「おう」
あの場所で待つ、大切な仲間の為に――
広大な海を越えた先に、ハイラルの大地はあった。森の上空を飛んで平原に出ると、真っ先に目に入ったのは大きな城で。
「あれはハイラル城だよ。容姿端麗なお姫様が住んでるって噂だけど……」
ラディスは怪訝そうに見つめて。
「……けど?」
「うん。誰も会ったことがないんだって」