第三章
ようやくルイージが落ち着いた頃、話を切り出した。今回の任務についてである。
「ヴァルバジア?」
ファルコが返すと、ラディスは頷いて。
「何でも、大昔に何とかって種族の英雄が退治した邪竜らしいんだ」
「ゴロン族だよね? 聞いたことあるよ」
そう言って、ルイージは腕を組む。
「……おかしいと思わないか?」
ラディスは続けた。
「退治され、身を滅ぼされた竜が今になって暴れているなんて。そんなことは」
「へっ。この御時世だぜ?」
ファルコはにやりと笑って。
「不可能なんてもんがあるかよ」
竜を蘇生させた者がいる――
「だとしても、一体何の為に」
「さぁな。ただ可能性があるとすれば」
ファルコはぐっとハンドルを握って。
「そいつは戦士(おれたち)に用があるってことだ――」