第一章
再び、ラディスがハッチに張り付いた。
「うわあっ!?」
青年も思わずハンドル操作を誤りそうだったが、何とか、今度は機体がほんの少し揺れて傾いただけに留まった。
短く息を吐き出し、直ぐ様機体を平行に持ち直してラディスを睨み付ける。
「だから危ないって」
「あの飛行機、追ってくれないか?」
そう言ってラディスが指差したのは、彼が乗り損ねてしまったあの飛行機である。
「え……」
青年はそう声を洩らして。
「てめえ、まさか」
「スパイとか! そうじゃなくてっ!」
男が言い切るよりも先に、ラディスは首を手を横に振って否定。青年は続けて、
「じゃあ、何で?」
ラディスは躊躇していた。
いずれは公表することになる職名だが、自分で口にするのは戦隊モノみたいで少し恥ずかしい。テレビアニメの見すぎか。