第三章
「つまり、その竜が暴れて山を荒らしているから、噴火の恐れが出てきていると」
マスターは静かに頷いて。
「竜というのは……?」
「ヴァルバジアというらしい。何でも近辺に住んでいるゴロンという種族の英雄が、大昔に退治した邪竜だそうだ」
……ということは。
「他にも何かありそうだな」
戻ってきたフォックスが口を挟んだ。
「そちらの原因解明までは依頼されていない。今回の目的はあくまで退治だ」
マスターは足を組んで。
「……俺だけで行くわけじゃ、ないよな」
「それでも構わないが」
ラディスは慌てて首を横に振る。
「安心しろ。昨日分析した戦闘能力のデータを元に、他に四人ほど選んである」
そう言われてフォックスに視線を移したが、本人は手を横に振って否定。
「……ま、せいぜい仲良くするんだな」
マスターはにやりと笑った。