第三章
◆第三章『灰色の空』
薄暗い世界の中、雨がしとしとと降っていた。赤が入り交じった地面に突っ伏すようにして倒れている男は、もう、動かない。
「……だから、言ったのにな」
――情を持ったところで無意味だ、と。
「っは」
午前三時。カービィは夢にうなされ、ばっと起き上がった。自分の胸に手を置き、鼓動を確かめる。はあ、と息を吐き出して。
「また、あの夢……」
接戦を強いられた、トーナメント戦。
「んん……っ」
その次の日の朝のことである。
午前九時、ラディスは腰の辺りに重みを感じて目を覚ました。うっすらと開かれた視界の中、見覚えのある人影を見つけて。
「リーダーが聞いて呆れるな」
マスターは溜め息を吐き出した。
「ひぎゃああっ!?」