エピローグ
白磁のような肌に頬には紅色が薄く。
大袈裟な反応に赤と青の双眸を細めては柔らかく笑う。薄紫の髪の幼子。
『新世界創造計画』用人型禁忌兵器――
「……?」
どうしてここにいるんだというその質問には答えずにタブーは何を仕掛けてくることもなく、くるっと背を向けて。ぱたぱたと走り去るその小さな背中を思わず目で追いかけた先――
「あれ」
その声に。姿に。
「偶然だね?」
ぎくりと肩を跳ねる。
「マスター……クレイジー……」
隻眼隻腕の双子。創造神マスターハンドと破壊神クレイジーハンド。
「何を驚いている」
見えない何かが呼吸を阻んでいるかのような息苦しさを覚えた。生温い風がからかうように頬を逆撫でする。
「保護者がいるのは当然だろう」
「兄さん。ゆとり、ってやつだよ」
そうして身を寄せ合ってくすくすと笑う双子にルーティは思わず息を呑んだ。何だって彼らがこんな所に。
いや。
今はそんなこと気にしてる場合じゃ――
「……あれ」
次の瞬間。絡みついていた糸が解けたかのように思わず声に出してきょとんと。
「その格好」
……ルーティが指摘したのは彼らのその服装だった。普段は白地にそれぞれ赤と青のラインを走らせて亜空軍のマークを肩に刺繍したいわゆる制服のようなものだったのだが――今日ばかりは白のカッターシャツに赤と青のネクタイを締め、黒い上着を羽織っている。