エピローグ



……変わってないなぁ。

「っと」

とんとんと幹や枝を蹴って木から木へ。時には枝に掴まり、勢いのままくるっと一回転――なんて遊び心。今更、何を恐れることもない自然に恵まれ草木の生い茂るこの場所は幼い頃から冒険即ち攻略済みでもはや庭のようなものである。

本当に。都市の発展より自然保護を優先してきたこの場所はいつ見ても何ひとつ変わらない。都会の人は文化が遅れているだとか田舎だとか言って笑うけれど、僕はやっぱり近未来都市よりも、自然に囲まれたこの場所が好きだ。

もちろん、皆が揃うあの場所だって掛け替えのない大切な場所だけど――

「ぶふっ」


激突。


……うん。まあ僕が来てない間に木の一本や二本くらい生えてるよね。といった具合に余裕を持って思考を巡らせている間、予期せぬ位置に生えていた木に見事正面衝突。ずるずるとずり落ちた先に、ぼすっとクッション――クッション?

「あっ」

踏んだり蹴ったりとはこのことで。

「いやああぁあああ!?」

熊に追いかけられ、猛ダッシュ。


久々に故郷に帰ってきたというのに。

また随分な歓迎だなぁ……
 
 
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