エピローグ
森林都市メヌエル。
無事、エアポートに着陸したアーウィンからひょいと下りたルーティは青空を見上げると、すうっと息を吸い込んだ。懐かしい空気が体の隅々にまで染み渡っていく。そうして暫く空を眺めてみたものの皆が乗った飛行機は影ひとつ見当たらず。あちらが到着するにはまだまだ時間がかかりそうだ……
「ルーティ」
ぐっと腕を伸ばしていたところ。
「今の内に実家に戻ってルピリアさんに顔を見せてきたらどうだ?」
……きょとんとした。
「せっかく帰ってきたんだし」
そういえば。
ううん、駄目だなぁ……エックス邸での生活が日常になっていたお陰で、申し訳ないことに実家に戻るという選択肢が、すっかり薄れてしまっていた。
「えっと……いいの?」
「皆には俺から言っておくよ」
フォックスは微笑。
「……ルピリアさんにもよろしく伝えておいてくれ」
そこまで言われてしまったのではお言葉に甘えさせてもらわざるを得ない。
「じ、じゃあ、よろしくね!」
済まなそうな顔をして小走りでその場を離れるルーティの背中に、フォックスは大きく手を振りながら。
「ゆっくりしてきていいからなー!」