エピローグ
僕たちは二手に分かれて向かうことになった。前以て予約しておいたレイアーゼからメヌエル間の飛行機で向かう組と個人の移動手段を持っていてそれを使って向かう組――僕とウルフは当然後者だ。
……僕の父さん。ラディス・フォンの墓参り。あの話を聞いた直後でまさかこんな機会に恵まれるなんて。いや、もしかしたらフォックスも明日が命日と知って懐かしくなったのをつい語ってしまったのかもしれないな。
「僕たちも正装くらい用意しておけばよかったね」
正面玄関を出てウルフを見上げる。
普段でこそ何処か拗らせ――っと睨まれてしまった、カッコイイ服を着こなしているパートナーの彼だが。だからこそ、ピシッと決まった姿も見てみたい。
ネクタイとか。……そう長く持つかな。ふと目を離したその隙に緩めるか解いてしまいそうだけどそれは阻止しよう。
「ルーティ」
ふと呼ばれて。
「今日はキツネのアーウィンに乗れ」
……え?
「ウィングの調子が悪い」
「四枚もあるのに?」
言うや否や何故か睨まれた。
「……とにかくウルフェンには乗るな。いいか。絶対だからな」
「フラグなの?」
拳骨。
「ウルフ! 何をしてるんだ!」
ルーティが頭を抱えているとその様子を目にしたフォックスが声を上げたので舌打ちを返してウルフは背中を向けた。
「いったぁ……」
ちらりと捉えて吐き捨てる。
「……さっさと行け」