エピローグ
「それは違うぞ、リム殿」
ざわめく声を縫って口を開き、進み出たのはリオンである。
「確かに我々にとってラディス殿は縁もゆかりも無い相手かもしれない」
誰も口を閉ざして注目を置く中。
「けれど貴殿らは違う」
リオンは続ける。
「沢山の日々の中で時間を共に過ごし、笑い合いながら絆を築いて。信じ、戦い……そして最期まで。それからもずっと現実と向き合ってきた」
ほんの少し目を伏せて。
「我々には……分からない。その日々がどれだけ大切で、だからこそこれまでがどんなに辛かったのか」
後悔に咽び泣く声も。
自分たちは何も知らないけれど。
でも。
「支えになりたいの」
言葉を紡いだのはピチカだった。
「だってパートナーだもん」
それに、と。両手を後ろに回し肩を竦めつつほんの少し頬を染めて笑いながら。
「おにぃのお父さん……ラディスさんは僕たちのこと知らないんでしょ。だから紹介してほしいな。僕たちのこと」