エピローグ
どうりで。ルーティは二人の向かった先、エントランスホールに訪れて思った。
「こういう服苦手なんだよねー堅苦しくて」
せっかく締めたネクタイを赤い舌を出しながら緩めるのはカービィである。
そう。今日という日は普段ふざけてばかりのイタズラ常習犯でお馴染みのカービィでさえも正装。普段着は体を動かしやすい身軽で且つ緩いものを好む彼ではあるが今度の黒のスーツもどうしてなかなかに決まっている。
確かに深く根付いたイメージとはかけ離れているが、性格を丸ごと除いてしまえば容姿端麗な彼だ。同じくエントランスホールを訪れていたピチカが遠目に注ぐ視線のなんとまあ熱いこと、熱いこと。
「なに見てんだよ」
「ふあっ」
じっとりとした呆れたようなそうでないような温くも刺さる視線に。
「見てないもん!」
……青春かぁ。
「あっ」
ルーティは小さく声を上げると駆け出した。
「フォックス!」
ざわざわと。
エントランスホールにはX部隊のメンバー全員が集合していた。
「ったく落ち着かねえな」
この場の空気をさしているのか服装をさしているのかファルコがぼやく。
「そう言うなよ」
フォックスはくすっと笑って。