エピローグ
「あだっ」
着替えを終えて部屋を出たが扉を閉める段階で足の小指を角にぶつけて撃沈。
「……何をやっているんだ」
地味な痛みに屈み込んで震えていると呆れた声が頭の上から降ってきた。
ゆっくりと顔を上げる。
そこに立っていたのはユウだった。
「あれ?」
ルーティは目を丸くする。
袖口が広く、裾の長いトップスの横に深いスリットが入っているのが特徴的な民族衣装をモチーフにしたような格好が彼の普段着。それが今日は何故か黒のネクタイを締めてきっちり正装している。
何かあったっけ。もしかして任務かな……ルーティがそう思っていると次いですぐ近くの部屋の扉が開き、出てきた人物がいた。
「リム」
「おはよう、ルーティ」
――彼女もまた正装だった。
「どうしたの?」
さすがに気になったので訊いてみる。
「いや……」
「隠すようなことじゃないでしょ」
いやに渋るユウをリムが肘で小突くのを見て。
「……まさか」
ルーティは深刻な表情で恐る恐る。
「結婚するとか……」
「んなわけあるか!」
あ、違った。