最終章
「……おい、パンサー」
ウルフは携帯をポケットに仕舞うと振り返って。
「テメェまた人の女に手ェ出したのか」
「フン。やはり去勢した方が良さそうだな」
「おい待てって何の話だよ!?」
そう返すパンサーは現在、床に仰向けになっており腰に跨ったレオンの目と鼻の先にあるナイフを手首を掴んで必死に止めている。
「フォックスから連絡があった。……ルーティってのは何処の女だ」
「ははは話すから、話すから!」
「……その辺にしてやれ」
ウルフが言うとレオンはふんと鼻を鳴らしてパンサーを解放した。全く冗談とも思えない言動には毎度のことながらヒヤヒヤさせられる……パンサーは胸に手を置いて心臓が落ち着くとひと息、立ち上がりつつ携帯を取り出す。
「ほら。この子だよ」
パンサーが言うと両側からウルフとレオンがひょいと覗き込んだ。
「俺が入る部隊、来年からパートナー制度ってのが導入されるらしくて……」
携帯画面に表示された画像。
金色の髪に頭の天辺にはやたら主張を示す巻き毛が一本。黒の瞳はまん丸と。その華奢な体つきは来年から戦士として活躍するものだとは到底思えない。
見れば見るほど。写っていたものにウルフは思わず、
「……餓鬼じゃねえか」