第二章
クレシスはモニター画面を見つめて。
「……で、お前は負けたのかよ」
「第一声がそれか?」
ラディスは苦笑を浮かべる。
――接戦の末、ラディスは負けていた。
それが敗因だと決め付けるには乏しいが、マリオは翻すことで飛び道具を跳ね返せるマントを隠し持っていたのである。
「ったく」
クレシスは腕を組んで。
「お前は甘すぎるんだよ」
あの戦いの中で、何度か攻撃の手を緩める場面があった。一歩間違えれば、そのまま試合が終わっていたかもしれないのに。
何も変わらないまま……
「仕方ないじゃないか」
ラディスはくすっと笑って。
「俺は甘党だからな」
いつもの彼だった。
「一つ、後学の為に言っておく」
「ん?」
「お前は絶対、甘いものより酒好きだ」