第三章



準備運動を終えると、ルーティは眩しい太陽に腕を翳し、見上げていた。

これこそが夏。なんて感じていたのだ。

「ルーティ、入るぞ!」

その時、フォックスに腕を掴まれ、ルーティは引かれるがまま海へ。波打ち際で手を離され、フォックスは子供のようにそのまま駆けていき、振り向き際に。

「ルーティ!」
「ふわっ!」

海水を掬い上げてルーティに掛ける。

すっかり油断しきっていたルーティはもろに浴びて、ふるふると頭を振って水滴を飛ばすと、フォックスの元へ駆け出し。

「やったなぁ!」

片手を海中に突っ込み、勢いよく振り上げてフォックスに海水を掛ける。

笑い声を上げてフォックスは腕を翳して防ぎ、仕返しとばかりに二回連続で海水を両手で掬い上げ、ルーティに掛けて。

ルーティは笑いながら後退し、今度は大量の海水を掛けてやるべく両手を海中に突っ込む。振り上げようとした、その時。
 
 
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