第二章
「誰だ!」
どうやら先客がいたらしい。
「ひっ」
しかもいきなり大声を出されたのでルーティは驚き、思わず足を滑らせてしまい。
屋根の端で爪先立ちになり、手をばたばた動かしては前後に揺れながら頑張って踏み留まっていたが、不意に夜風に吹かれて。
「あ」
小さく声を洩らし、冷や汗がたらり。
次の瞬間、ルーティの体は前方に大きくよろめいて。ああ、バカンスの初日に大怪我だなんて情けない……天性の馬鹿だな。
「っぎゃん!」
ところが間一髪、ルーティの足は何者かに掴まれて。しかし勢いは変わらず、そのままルーティの体は前に倒れ、宙吊りの状態になって別荘の壁に正面から激突。
「ったく。危なっかしい」
ルーティが痛みに悶え苦しんでいたその時、聞き覚えのある声が聞こえてきて。