第二章
「彼のことですか?」
ふと、食べる手を止めたリンクが落ち着かない様子のルーティに気付き、声をかける。くいと顎でとある人物を差して。
その先にウルフはいた。一人で黙々と夕飯を食べ進めていて、近くにフォックスも座っているのに話そうともしない。
話せ、とは言わないが。あれでは本当に一匹狼……や、確かに狼だけど。
「食え」
その時、アイクが骨付き肉をルーティに差し出してきた。彼なりに心配してくれたのだろう。ルーティは笑って。
「ありがとう。でも、平気だから」
「なら食(しょく)せ」
一瞬、日本語が通じたかどうか疑った。
とにかく食べろということか。まあ、食べなきゃ夏バテしてしまう可能性だってあるし、とりあえず食べるとしよう。