第二章
「……、ん」
段ボールの中身を片付けていたユウの手がぴたりと止まり、ある物を取り出す。
それは紛れもなく縄で。試しに中を漁ってみれば出るわ出るわ、蝋燭に鞭、猿轡(さるぐつわ)に鉢巻きといったSMグッズ。
「どうした、ユウ」
荷物の片付けよりも先に別荘の中を見回ってきたメタナイトは、戻ってくるなり固まっているユウに気付き、声をかける。
「……別に」
大方、リオンに入れられたのだろう。
もしやクジに細工でもしてるのではと身構えていたが、不覚だった。本人は恐らく、ユウの反応をオカズに……、いや。
これ以上はもう何も言うまい。
「ユウ」
名を呼ばれ、振り向く。
そんなに心配なのだろうか。大袈裟な問題ではない、と返そうとしたその時。
「それは私の荷物だ」
沈黙。
「……何に使うんだ」
「私にも事情があるんでな。主に訓練だ」
事情。訓練。
本人は至って真面目なのに、思わずいやらしい妄想をしてしまうのはリオン直伝か。