第二章



「……、ん」

段ボールの中身を片付けていたユウの手がぴたりと止まり、ある物を取り出す。

それは紛れもなく縄で。試しに中を漁ってみれば出るわ出るわ、蝋燭に鞭、猿轡(さるぐつわ)に鉢巻きといったSMグッズ。

「どうした、ユウ」

荷物の片付けよりも先に別荘の中を見回ってきたメタナイトは、戻ってくるなり固まっているユウに気付き、声をかける。

「……別に」

大方、リオンに入れられたのだろう。

もしやクジに細工でもしてるのではと身構えていたが、不覚だった。本人は恐らく、ユウの反応をオカズに……、いや。

これ以上はもう何も言うまい。

「ユウ」

名を呼ばれ、振り向く。

そんなに心配なのだろうか。大袈裟な問題ではない、と返そうとしたその時。

「それは私の荷物だ」

沈黙。

「……何に使うんだ」
「私にも事情があるんでな。主に訓練だ」

事情。訓練。

本人は至って真面目なのに、思わずいやらしい妄想をしてしまうのはリオン直伝か。
 
 
38/47ページ
スキ