第二章



「知ってたぁ?」

カービィは荷物を整理しているクッパの背後にそっと近寄り、耳元で声を潜めて。

「ぬっ」
「昔……アクエスの海である女性が見投げしたんだって。だから深い所に行きすぎると、足を掴まれてそのまま……」
「やめんか!」

怖い話はあまり好きではないクッパ。

それ以上聞きたくなかったのか、カービィを勢いよく突き飛ばして。不良面のくせに、中身は意外とナイーブである。

「あっれぇ? まさか怖いの?」
「ちちちっ違うわぁ!」

クッパは勢いよく指差しながら。

「だっ大体! 明日は海に行く予定なのに、そういう暗い話題はHGなのだ!」
「NGね」

暫しの沈黙が訪れて。

「怖い話などゴルゴ横断」
「言語道断」

本当に大魔王なのか。

カービィはクッパのお馬鹿っぷりに、からかうのも忘れて思わず溜め息を吐いた。
 
 
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