第一章
その場に居た客が密かに警察を呼んでいたらしく、銀行強盗の男三人は間もなく逮捕され、早々に連行されていった。
二度目の拍手喝采の中、ルーティとカービィは笑顔でその場を立ち去る。そうして、銀行を出て数メートル程歩いた先で。
「あっ」
小さく声を洩らし、立ち止まるルーティ。
「……、ルーティ?」
「報酬金」
「あっ」
遅れて立ち止まり、不思議そうに振り向くカービィにルーティはぽつりと答えて。
そういえば、とカービィは苦笑。
「……帰ろっか」
暫しの沈黙の後、アイスを諦めたらしいカービィが仕方なさそうに告げて。
何となく、名残惜しそうに銀行を振り向いて見た後、ルーティは申し訳なさそうに苦笑にも似た半端な笑みを浮かべ、カービィの隣へ駆け寄っては並んで歩き出して。
――全く、何をしに銀行に行ったんだか。