第二章
「あーあ、おにぃと一緒じゃないなんて」
ピチカはベッドの縁に腰掛け、両足をぶらぶらと揺らしながらぼやいて。
「俺だってなぁ!」
それまでせっせと段ボールの中の荷物を整理整頓していたネロは、振り向き様にピチカを勢いよく指差し、わなわなと。
「おっおっ……お前なんか、より……」
すると何故かネロの顔はたちまち赤く染まり上がり、頭から湯気が噴き出して。
「まぁたローナとシフォンの話ぃ?」
「違っ」
「やっらしー。シスコンだぁー」
「そりゃお前の兄だろ!」
睨み合うピチカとネロ。
同じく同室のデデデはベッドの上に寝転がり、おとなしく小説を読んでいる。
と、ネロとピチカが振り返り。
「デデデはっ」
「どっちの味方なんだよ!」
するとデデデは小説から目を離さずに。
「ふん、馬鹿らしい。そんなことで味方を巡っての小競り合いなんか……だから心身共に育たんのだ、馬鹿共が」
グサッ!
「……ん?」
デデデが気付いた時には、ピチカとネロは共に部屋の隅で膝を抱えていて。
――まさに会心の一撃。