第二章
「よっと」
フォックスは自分の荷物が入った段ボールを抱えて、早速指定された部屋に運んでいた。部屋の隅に段ボールを置き、一息。
「あら、同じ部屋だったの」
と、続けて段ボールを抱えながら部屋に入ってきたのはシフォン。どうやら、フォックスとシフォンが一週間同室らしい。
「みたいだな。よろしく、シフォン」
平然を装って片手を軽く挙げるフォックスだが、六日も同じベッドで寝なければいけないなんて、実際は気が気じゃなかった。
ファルコという恋人もいるし、自分の受け持つチームには女性メンバーもいる……が、まだまだ免疫は無いに等しい。
何も考えるなと心の中で言い聞かせつつも、妄想してしまう。彼女は黒いと評判なので、悟られぬよう背中を向けていると。
「手が止まってるじゃない。手伝うわ」
むにゅ。
後ろから手を回してきたシフォンだが、フォックスの背中に胸が当たって。その感触に、フォックスは硬直してしまい。
「っ……け、結構!」
とりあえず、飛び退いて距離を取る。
「ふふ。楽しくなりそうね……童貞さん」
「なあっ!?」
確信犯。