第一章
「動くんじゃねえ!」
とある男の声が静寂を生んだ。
カービィがゆっくりと振り返ると、そこには一人の男に捕らえられ、こめかみに銃口を突き付けられたルーティの姿が。
「この坊主がどうなってもいいってのか? ええ?……分かったらさっさと一億用意して、こっちによこすんだ!」
人質を取られてしまっては仕方ない。
受付嬢は直ぐ様、一億円用意するべく銀行員に指示を出して。やむを得ず承諾した銀行員が、金庫へ向かおうとしたその時。
「彼なら大丈夫だよ」
ぽつりとカービィが銀行員に告げる。
「黙れ! 殺されてえのか!」
声を荒げる男を無視して、カービィは振り向くと銀行員らににこりと笑いかけて。
「だって、彼は――」