第二章
この後も護身用武器の所持で何人か引っ掛かってしまったが、それでもどうにか手荷物検査を終えて飛行機へ。……にしても。
「感動した」
「えっ」
機内に足を踏み入れるなり、ルーティはぽつりと呟いて。ピットは小首を傾げる。
「僕は今、感動している!」
大声で宣言。
その声量に誰もが目を丸くしているにも関わらず、ルーティは瞳を輝かせながら。
「ここには風が無い! 揺れても落ちない! この安定感……っ最高!」
ちなみに、現在の時刻は朝の五時。
少しは他人様の迷惑を考えろ、とウルフは後ろからルーティの頭を殴り付ける。
頭を押さえ、振り向くルーティをさっさと指定された席に座らせて。ウルフは眠そうに欠伸を洩らし、隣に腰掛ける。