エピローグ
自ら進んで道案内を引き受けたというのにまさかかんかん照りの中を長々と歩かせるわけにはいかない。そう思って近道を行こうとしたのだが──
「通行止め?」
きょとんとして見つめるルーティに頷いて応えたのはなんとドンキーだった。
「飲酒運転にスピード違反と信号無視や」
これまた気持ちいいくらいの三拍子である。
ドンキーが呆れたように言って親指で示した先では確かにトラックが横転していた。どうやら前述の違反行為で歩行者が渡っている最中の横断歩道に突っ込みそうになったところを逸早く危機を察知したドンキーが飛び込み受け止めて横転させることで止めたのだとか──
……あまりにもゴリラすぎる。
「なんかゆうたか?」
筒抜け!
「怪我人は出ていませんから安心してください」
恐らくは二人で夕飯の買い出しに出掛けていたのだろう、リンクがにこやかに告げるもルーティはおろおろと忙しなく正面の二人から事故の様子を右から左から覗き込もうとしながら。
「う、運転手の人は」
「優しいですね」
「あんなん、なんぼでも頭打ったらええねん」
「誰にだって失敗はあるよ!」
「はいはい大丈夫ですよ病院に搬送されてます」
ルーティはほっと胸を撫で下ろす。
「で。後ろの坊ちゃんは?」
そうだった。
「道案内してるんだ。司令塔に行きたくて……」
「確かにここの道のが近いからなぁ」
「そこの裏通りから反対側の通りに出るのはどうでしょう。少し遠回りになりますが」
こればかりはやむを得ない。
「ありがとう。そうするよ」
「熱中症には気ぃつけやー」
「うん! 二人もね!」