第一章
「じ、じゃあ……着てみようかな?」
ルーティは照れ臭そうに笑ってウルフから山吹色の浴衣を受け取り、試着室へ。
――ウルフが言うなら、ほぼ即決だけど。
「ふふっ」
これを着て、褒めてくれるのだと想像しただけで、心が踊る。早く着せて見せたい一心から、試着室前の靴には気付けなくて。
「あっ」
先客。そこにいたのはどうにか浴衣を着ようと悪戦苦闘している、ソニックだった。
「え、……あ」
それにしても情けない姿だ。
着付けが出来ていないお陰で、浴衣は大きくはだけてしまっている。何だか申し訳なくなって、試着室を出ようとしたその時。
「Stop!」
すかさずルーティの腕を掴み、阻止。
「Do me a favor!」
「えっ?」
さすがに英語じゃ分からない。疑問符を浮かべ、ルーティが小首を傾げていると。
「浴衣! 着るの、手伝ってくれ!」