最終章
次の日。
「本当に忘れ物は無いだろうな?」
アクエス空港。搭乗口前──おっとご安心あれ、既に荷物は預けてあるのである。初日と同じく早朝ということもあり欠伸を漏らしたり眠そうな顔がちらほらと並ぶ中で厳つい顔つきで熱心に確認しているのはマリオだった。
「兄さん……いい加減しつこいよ……」
「当たり前だろ!」
「忘れ物は処分だなんて厳しいですよねぇ……」
ヨッシーはうつらうつらしながらぼやく。
「あれ」
眠そうなネスを連れたリュカが怪訝そうに横から覗き込むと気付いたリムは優しく微笑んで人差し指を立てた。恐らくは眠るのが惜しくて夜遅くまで遊んでいたのであろう静かな寝息を立てながら眠るピチカが彼女に背負われている。
「お互い大変ですね」
「ホンマやで」
というのはどうやら他二名も同じだったようで。口々にぼやきながらも決して嫌そうな素振りは見せないリンクとドンキーに眠りこけるトゥーンとディディーが背負われているのを見て失笑。
「本当の本当に大丈夫なんだな!?」
「いい加減にしなさいよ眠いんだから」
はいはい、と呆れた様子で背中を押すピーチに少しばかり逆らいながらもマリオは飛行機の中へ。ルーティは欠伸を漏らした後でまだ少しだけ暗い空を見上げた。
明日からまた日常が戻ってくる。
帰るんだ。
あの雲の向こうに。
「そういやぁこの島全然青くなかったな」
ぼやいたのはファルコである。
「……青?」
「蒼の孤島って──」
「別にどうでもよくない?」
朝からうるさいなあとカービィが余計なひと言を付け加えてしまえば何だその言い草はとばかりにファルコが突っかかっていくのだから側にいた保護者基フォックスが割って入ってはどうどうと。一連のやり取りにルーティは小さく吹き出す。
「え、何?」
「どうしたんだよ」
「何でもないよ」
そうして通りかかったソニックに。
「ねっ?」
なんて柔らかく笑いかけるものだから。
「ソニック……?」
「Hey! 誤解を招くような言い方はするなって!」
「特別な秘密だもんね?」
「ソォニックゥウウッ!」
「Noooooo!」