最終章
そんなことを言われても! ルーティは反抗するように顔を背けた。
でもでもせっかくの誕生日だし。他の皆はお酒が入っていたりカラオケに夢中だったりでこのタイミングで、それもこんな所にまで顔を覗かせには来ないだろうし。否定した通り一生関わることがないだろうと思っていた代物だし。……
「ほら」
恐る恐る振り返って伸びてきた手に押し付けるように手渡しながらくっくっと笑う。悪い大人だなと恨めしそうに横目に見ながらルーティが見様見真似で口に咥えれば続けて取り出したライターを点火して先端に火をつけてきた。
「ゔ」
すぅっと吸ってみたが直後。
「──ゔぇほっ! げほげほっ……!」
案の定。
「はっはっは!」
概ね予想通りの展開に声を上げて笑ったウルフは咽せるルーティから煙草を取り上げて背中を繰り返し叩いてくれた。ある程度落ち着いたところでルーティは涙目で睨みつける。
「や、やっぱり……煙草、きらい……っ」
「吸わねえよか良かっただろ」
そう言って満足げに煙草を吹かせ始めるウルフにそれは間接キスなのでは等と余計な一文が脳裏を過る辺り自分はまだまだ子どもなのだと思う。
「……もう」