最終章
直後ファルコンは何やら危惧して眉を寄せる──お馴染みのヘルメットは外していたのだ。
「未成年に飲ませる趣味はないぞ?」
「飲んだりしないよ」
苦笑いを浮かべながら近くにあった椅子を運んできて座ったレッドは息を吐いて賑わう群衆を目を細めながら遠く眺める。
「こういうの、いいなぁと思って」
オリマーはウイスキーを口に──おっと、此方も珍しくヘルメットは外しているのだ。
「混ざらないのか」
「それじゃ、いつもと同じだからね」
レッドは頬杖を付きながら。
「……客観的に見てみたくなったんだよ」
太陽のように眩しい笑顔に溢れていて。
イカロスだって躊躇しただろうな、なんて。
「あだっ」
突如として脳天直下の手刀による一撃がレッドを襲う。思わず情けない声を上げて振り返れば顰めっ面のネロがそこに立っていた。
「この阿呆」
「うっ……聞いてた?」
「筒抜けだっつの。こっち静かだからな」
いつの間に抜け出してきたのやら。
「その内ローナとシフォンも探し出すぞ」
「ええぇ」
「当たり前だろ」
ネロは腰に手を当てながら。
「いなくていいことなんかないんだからな」