第一章
そう言って、ルーティから離れたフォックスが早々に持ってきたのは二着の浴衣。
一つは山吹色を基調に、橙色の波紋模様が施された浴衣。もう一つは、黒を基調に黄色の蝶々のデザインがあしらわれた浴衣。
「って、選択肢浴衣だけ?」
動きやすいので、甚平がいいなと思っていたルーティ。小首を傾げていると。
「何を言ってるんだ、ルーティ!」
フォックスは瞳を輝かせながら。
「浴衣の方が色っぽい!」
「お前もだんだんリオンに似てきたな」
はっきりと断言するフォックスを呆れて横目で捉えながら、ファルコは溜め息。
すると、ルーティが選ぶよりも先にウルフが山吹色の浴衣を手に取り、ルーティに当てて。そして、微笑を浮かべると。
「こっち、着てみたらどうだ?」
……不意討ちは反則だと思う。